価格:88,000円(税込)
手塚治虫による医療漫画の金字塔。
主人公のブラック・ジャックは、医師免許を持たないにもかかわらず、重症患者さえ救う驚異的な技術を備えた天才外科医。法外とも思える高額な報酬を求める一方で、誰よりも強く「命」と向き合う、孤高のダークヒーローとして描かれています。
医学博士で医師免許を持つ手塚先生自身が「もし自分が医者になるならこんな医者になってみたい」という思いを込めて創作されたとのこと。『ブラック・ジャック』には、そうした医学的知識と人間への深いまなざしが色濃く息づいています。
生命の尊さ、倫理や道徳、医療制度の矛盾、社会の不平等までを鋭く描いた作品で、善悪だけでは割り切れない現実の中で、「命を救うとは何か」を問い続けるその姿勢こそが、多くの読者を惹きつけてやまない理由でしょう。今なお世代を超えて読み継がれる不朽の名作です。
1928年(昭和3年)、大阪府に生まれ、兵庫県宝塚市で育つ。幼少期から宝塚少女歌劇やディズニー映画に深く親しみ、豊かな空想力と視覚的センスを育んだ。大阪大学附属医学専門学校(現・大阪大学医学部)在学中の1946年(18歳)に『マアチャンの日記帳』でデビュー。翌1947年(19歳)に発表した『新寶島』では、映画的な構図や効果線を取り入れた斬新な表現を確立し、戦後日本の「ストーリーマンガ」の原点となる革命を起こした。後に医学博士号も取得している。
生涯にわたりあらゆるジャンルを開拓し、「マンガの神様」として不動の地位を築き上げた。代表作として『鉄腕アトム』『リボンの騎士』『ブラック・ジャック』などの歴史的傑作を次々と発表し、日本の漫画文化を牽引。さらに1963年(35歳)には、日本初の本格的な30分テレビアニメシリーズの制作を開始し、現代に繋がるアニメーション産業の礎も構築した。
これら一連の画期的な業績により、小学館漫画賞(1975年)、講談社漫画賞(1977年)など数々の賞を受賞。1989年に60歳で惜しまれつつ逝去した際、その偉業を称えて国から勲三等瑞宝章が追贈された。
手塚治虫の作品の根底には、戦争体験と医学の知識に裏打ちされた「生命の尊厳」とヒューマニズムが流れている。丸みを帯びた温かみのあるキャラクター線と、映画のように洗練された画面構成は、世代や国境を越えて広く愛され続けている。
現在、美術市場において手塚作品は単なる漫画の枠を超え、日本を代表するアートとして高く評価されている。おなじみのキャラクターが描かれた貴重な直筆原画や当時のセル画に加え、生前の原画を元に高品質な最新技術で制作された版画(ピエゾグラフなど)も広く流通しており、時代を超えて受け継がれるアートピースとして国内外の美術愛好家から親しまれている。
宝塚市立手塚治虫記念館(兵庫県宝塚市)、京都国際マンガミュージアムなど。