価格:165,000円(税込)
シルクスクリーン、リトグラフ、ジグレー、ピエゾグラフなど多様な版画作品を作っています。作品の用紙選びから、刷り上がりまでを一貫して手掛けている工房です。
象徴的な「LOVE」を生み出したロバート・インディアナやアメリカ現代美術の巨匠ドナルド・サルタンなど、多くのアーティストの作品制作を経験してきたNijel Barnsの指揮のもと、優れた摺り師たちが制作しています。
ミュシャ「夢想」
画寸:タテ 72.7 × ヨコ 55.2 cm
技法:カラーリトグラフ
制作年:1898年
所蔵:堺 アルフォンス・ミュシャ館(大阪府堺市)、ほか
もともとはシャンプノワ Champenois という印刷会社の宣伝用として制作された図柄です。膝の上に印刷物の見本帳のような大きな画帳が置かれています。
当初は題名もありませんでした。発行されてまたたくまに大人気となったため、雑誌『ラ・プリュム』で装飾パネル形式で販売されることとなり、それを機に『夢想』というタイトルがつけられたとのことです。
衣装には東欧的な装飾が見られ、ミュシャの祖国モラヴィア、ボヘミアの様式美が感じられます。花冠に飾られた夢見るようなまなざしの美しい女性は、光輪をイメージさせる花々の輪を背景にさらに華やぎを増しています。
1860年、現在のチェコ(当時はオーストリア帝国領)のモラヴィア地方イヴァンチッツェに生まれる。1879年(19歳)よりウィーンの舞台装置工房で助手として素描を学び、ミュンヘンの造形美術アカデミーを経て、1888年(28歳)の時にパリへと渡った。
長い下積み時代を経て、彼に運命的な転機が訪れたのは1894年、34歳の時である。当時の大女優サラ・ベルナールの舞台のために急遽手がけたポスター《ジスモンダ》によって一躍有名となり、流麗で優美なデザインは「ミュシャ様式」としてパリ中を席巻した。1900年のパリ万国博覧会では装飾美術の頂点を極め、「アール・ヌーヴォー」の先駆者として揺るぎない名声を確立した。
しなやかな曲線で描かれる優美な女性像、精緻に組み込まれた花々や植物のモティーフ、そして淡く調和のとれたパステル調の色彩。これらが完璧なバランスで融合したスタイルは「ミュシャ様式」と呼ばれた。その美意識は、《黄道十二宮》や《夢想》といった代表作において最も洗練された形で表現され、ポスターやリトグラフ(石版画)を、芸術的価値を持つアートへと高めた存在として評価されている。
商業美術での華々しい成功の裏で、ミュシャの関心は常に故郷と民族のアイデンティティに向けられていた。
晩年は商業美術の第一線を退き、16年の歳月をかけて祖国と民族の歴史を描き出した20点に及ぶ大連作《スラヴ叙事詩》を完成させるなど、深い精神性と祖国への愛に生きた。
100年以上の時を経た今もなお、計算し尽くされた美しい構図と優雅な装飾性は全く色褪せることがない。近代グラフィック・デザインの礎を築いた作品は、アール・ヌーヴォーの歴史的遺産として、世界中の美術館や美術愛好家から評価を集め続けている。
ミュシャ美術館(プラハ)、オルセー美術館(パリ)、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(ロンドン)、堺 アルフォンス・ミュシャ館など。