葛飾北斎 (Katsushika Hokusai) 1760-1849
江戸の町に生まれ、浮世絵界へ
1760年(宝暦10年)、江戸の本所割下水(現在の東京都墨田区)に生まれる。幼い頃から絵を描くことを好み、木版彫刻師の徒弟などを経て、19歳で浮世絵界の巨匠・勝川春章に入門。「勝川春朗」の画号で役者絵などを手掛け、浮世絵師としてのキャリアをスタートさせた。以後、90年の生涯で30回以上も画号を変え、93回もの転居を繰り返しながら、ただひたすらに画道の探求に没頭した。
『富嶽三十六景』と世界への影響
狩野派や住吉派、さらには中国絵画や西洋の陰影法・透視図法までも貪欲に吸収し、独自の画風を確立する。72歳の時に発表された『富嶽三十六景』(「神奈川沖浪裏」「凱風快晴」など)は、当時の江戸に名所絵(風景画)の大ブームを巻き起こした。また、絵手本として描かれた『北斎漫画』は、後に海を渡り、モネやドガ、ゴッホなどヨーロッパの画家たちに大きな衝撃を与え、ジャポニスム(日本趣味)流行の牽引役となった。
生命力あふれる描写と、世界が熱狂する最高峰の「春画」
北斎の作風は、森羅万象を捉える圧倒的なデッサン力と、大胆かつ計算し尽くされたダイナミックな構図、そして「ベロ藍(プルシアンブルー)」を用いた鮮やかな色彩表現にある。
また、人間の性と生命の歓びを描いた「春画」の分野においても、美術史に残る傑作を多数残している。艶やかで肉感的な描写や、ユーモアを交えた豊かなストーリー性は他の追随を許さない。ロンドンの大英博物館をはじめ日本国内でも大規模な春画展が開催され大好評を博すなど、その芸術性は国際的にも高く再評価されている。
主な作品収蔵先
すみだ北斎美術館、東京国立博物館、大英博物館(イギリス)、メトロポリタン美術館(アメリカ)、ボストン美術館(アメリカ)、ルーヴル美術館(フランス)など。

