櫻井幸雄 (Yukio Sakurai) 1948-
雪国での原体験と版画制作の探求
1948年(昭和23年)、新潟県湯之谷村(現・魚沼市)に生まれる。青年期から地元で農業に従事しながら、絵画を独学で習得した異色の経歴を持つ。流派にとらわれない自由な表現を重んじる全国公募展「新構造展」へ初出品して努力賞を受賞し、画業を本格化させた。
1980年代には東京のギャラリーや百貨店で個展を重ねて着実に評価を高め、1991年(43歳)には日本美術家連盟会員となる。同年には単身渡仏し、パリの名門・ムルロー工房にてリトグラフ(石版画)の制作に打ち込み、版画表現の探求をさらに深めていった。
画壇での評価と受賞歴
新構造展を中心に精力的な活動を続け、1983年に三村賞、1996年に文部大臣賞を受賞するなど、中核的な画家として活躍した(2002年に同会を退会)。また、1986年の安井賞展への出品作が彫刻の森美術館に買い上げられるという栄誉を受け、具象画壇における地位を確立。さらに童画の分野でも才能を発揮し、2000年には川上四郎記念全国童画展で最優秀賞を受賞するなど、多方面から高い評価を獲得している。
郷愁を誘う「出番のないベンチ」
櫻井幸雄の代表作であり、絶大な人気を誇るのが、少年野球の補欠の子供たちを描いた「出番のないベンチ」シリーズである。背番号2桁の少年たちが、広大な青空や白い雲の下で出番を待つ姿が、温かな眼差しで情感豊かに描き出されている。さらに、サッカー少年を題材とした「遠いゴール」など、子供たちの何気ない日常や成長のワンシーンを切り取った作品は、愛らしさの中にも郷愁があり、多くの人々の共感を誘う。
油彩画のみならず、シルクスクリーンなどの版画作品も広く親しまれており、日常にやさしい時間をもたらすアートとして根強い支持を集めている。
主な収蔵先
彫刻の森美術館など。

