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「オレンジ」が額に入っています。額縁裏面の留め具はかんたんに外すことができます。作品を入れ替えてお楽しみいただけます。
各版画は一枚一枚、タイトル入の保存用紙で保護されています。『オレンジ』以外の8作品は特製ケースに収納されています。『オレンジ』は額縁に入れられています。
序 池田満寿夫
ここに掲載されたリトグラフは一九七六年一月十五日から五月七日までの間に東京池上の南天子画廊版画工房で制作したものである。主にアルミニューム版を用い、作者が直接版の上にリトクレオンと解墨で描き、高月仁氏が製版及び試刷を担当し、後にエディションが刷られた。
このシリーズは、はじめから画集にするつもりで制作されたわけではなかったが、試刷の終わった段階でタイトルをきめる時に画集としてのイメージが出来上った。最初“Fruit Punch”と名附けられたがあとで“Mixed fruit”に変更した。
リトグラフの図版に附けられた詩は、イースト・ハンプトンへ帰宅してから七月下旬、そこで制作した。その後作者自身によって英文に翻訳された。勿論翻訳は作者にとってもはじめての試みである。リランが日本語を読めないので、いわば彼女が理解出来るように英文でもう一つの詩をつくってみたのである。原詩と英詩の間に若干の違いがあるのはそのためである。
一九七六年八月十八日 イースト・ハンプトンにて
1934年、旧満州・奉天(現瀋陽)に生まれる。1945年に両親の故郷である長野市へ移住し、1951年(17歳)に第1回全日本学生油絵コンクールでアトリエ賞を受賞して早くからその才能が注目された。
1960年代に入ると銅版画家として頭角を現し、東京国際版画ビエンナーレ展で受賞を重ねる。1964年(30歳)にはニューヨーク近代美術館(MoMA)が版画24点を買い上げ、翌1965年には同館で日本人画家として初となる個展を開催した。さらに1966年(32歳)、ヴェネツィア・ビエンナーレ国際版画大賞を受賞し、世界的な評価を確立した。
1977年(43歳)には小説『エーゲ海に捧ぐ』で芥川賞を受賞。美術と文学の両分野で高い評価を受けた希有な存在である。さらに、彫刻・陶芸・脚本・写真などでも活躍し、マルチな才能をいかんなく発揮した。
多様な領域に活動を広げながらも、その核心には一貫して表現への探究心があった。戦後日本美術において、国際舞台で確固たる評価を得た版画家として重要な位置を占めている。
緻密な線描と大胆な構図が特徴。女性像を中心とする作品群には、エロス・幻想・象徴が交錯し、内面的な物語性を帯びている。
ピカソをはじめとする尊敬する多くの西洋作家から刺激を受けつつも、日本的感性を背景に、ジャンルにとらわれない自由奔放で変幻自在な作品を制作。戦後の日本版画を代表する存在として、国内外の主要美術館に作品が収蔵されている。
ニューヨーク近代美術館(MoMA)、京都国立近代美術館(世界最大級の版画コレクションを収蔵)、東京国立近代美術館、国立国際美術館、東京都現代美術館、長野県立美術館、パラミタミュージアム、シカゴ美術館、アルベルティーナ美術館(ウィーン)など。