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モネ「印象・日の出」
画寸:タテ 50 × ヨコ 65 cm
技法:カンバスに油彩
制作年:1872年
所蔵:マルモッタン・モネ美術館(フランス・パリ)
モネの故郷ル・アーヴルの港を描いた作品です。マルモッタン美術館の案内によると、1872年11月ごろ、モネはル・アーヴルのアミロテ・ホテルに滞在し、部屋の窓から見える外港の景色を、早朝の光の中で素早く描きました。朝霧の中に浮かぶ船や岸壁、海面に映る赤い太陽が、細かな描写よりも「その瞬間に受けた印象」として表されています。
この作品は、1874年の第1回印象派展に出品された際、その題名から大きな注目を集めました。風刺新聞『ル・シャリヴァリ』の批評家ルイ・ルロワが、この作品名をもとに「印象派」という呼び名を皮肉をこめて使ったことが、現在の「印象派」という名称のきっかけとして知られています。
港の風景そのものを精密に再現するのではなく、光、霧、空気、水面のきらめきまでをひとつの情景としてとらえたところに、この作品の新しさがあります。美術史を変えた記念碑的な一枚です。
1840年、フランス・パリに生まれる。青年期をル・アーヴルの港町で過ごす。16歳で画家の道を歩み始め、1870年(30歳)、普仏戦争を避けて滞在していたロンドンでターナーやコンスタブルの作品に触れ、外光がもたらす明るい色彩表現に開眼した。写実的で堅苦しいサロン(官展)芸術が主流だった当時のフランス絵画界において、その旧態依然とした体制と決別。ピサロ、ルノワール、シスレーらの仲間とともに、1874年に自由な感性で新たなグループ展を開催した。「印象派」という名称は、この展覧会(後に第1回印象派展と呼ばれる)に出品された作品《印象・日の出》に由来している。
時間や季節とともに移りゆく光と色彩の変化を生涯にわたり追求した。1880年代(40代)後半から晩年にかけては、一つのテーマを様々な天候や季節のもとで描く「連作」へと表現を深めていく。特に、ジヴェルニーの自宅の庭に造られた池を描いた《睡蓮》の連作は300点以上制作され、光と色彩の探求におけるモネの芸術の集大成となった。
輪郭線をなくし、自然の光のきらめきをキャンバスに表現したモネの技法は、近代絵画の扉を大きく開いた。とくに、晩年の《睡蓮》に見られる画面構成は、後の抽象表現主義など20世紀美術にも多大な影響を与えている。移ろいゆく自然の一瞬の美しさを永遠に留めたその作品群は世界中で愛されており、印象派を代表する画家としてゆるぎない国際的評価を得ている。
オルセー美術館(パリ)、オランジュリー美術館(パリ)、マルモッタン・モネ美術館(パリ)、ニューヨーク近代美術館(MoMA)、国立西洋美術館(東京)など。






