シャガールの人気シリーズ『エルサレム・ウインドー』より、ゼブルンとルベン
シャガールが手がけたステンドグラス作品のひとつが、エルサレムにあるイスラエル国立ヘブライ大学附属ハダサ病院内の礼拝堂(シナゴーク)の窓です。四方の窓に3枚ずつ、全部で12枚のステンドグラスが配され、イスラエルの12部族が題材となっています。
それぞれの画面には、動物や花、魚、部族のシンボルが散りばめられています。版画集『エルサレム・ウインドー(The Jerusalem Windows)』は、そのステンドグラスのスケッチをもとに制作されました。
作品仕様
- 技法
- リトグラフ
- 限定
- 134/150
- 画寸(約)
- タテ 21.5 × ヨコ 29.5 cm
- 額寸(約)
- タテ 61.5 × ヨコ 78.5 cm
- サインなど
- なし
- 状態
- 良
- その他
- 額付き(ひとつの額に2作品)
マルク・シャガール (Marc Chagall) 1887-1985
「愛の画家」の誕生
1887年、旧ロシア領(現ベラルーシ)のヴィテブスクに生まれる。サンクト・ペテルブルクの美術学校で学んだ後、1910年(23歳)にパリへ留学。キュビスムなど当時の前衛芸術の洗礼を受けながらも、故郷への愛とユダヤの神秘を融合させた独自の色彩世界を確立。
恋人たちや、花束、サーカス、動物といったモチーフを、まるで夢の中のような構図で描き出し、「愛の画家」として20世紀を代表する詩的で幻想的な芸術世界を築き上げた。
傑作が生まれた円熟の時代
1959年(72歳)、旧約聖書のイスラエル12支族をテーマに、エルサレムのシナゴーグを飾る12枚のステンドグラスを制作。1962年にリトグラフ版画集『エルサレムウィンドウ』として刊行されたこの作品は、ユダヤ人としての魂を刻んだ傑作として広く知られている。
1964年(77歳)、フランス文化相アンドレ・マルローの依頼により、パリ・オペラ座(ガルニエ宮)の天井画《夢の花束》を完成させた。モーツァルトやワーグナーなど、14人の偉大な音楽家と名作オペラ・バレエへのオマージュが込められたこの大作は、現代もなおパリが誇る至宝として輝き続けている。
晩年の南仏時代と「愛と平和」の遺産
1966年(79歳)にサン・ポール・ド・ヴァンスに居を構え、以降も絵画の枠を超え、ステンドグラスや陶器、舞台美術など多彩な表現に取り組んだ。
1974年(87歳)には古代ギリシアの叙事詩「オデュッセイア」をテーマに制作した43点のカラーリトグラフ『オデッセー』を刊行し、南仏時代を代表する傑作として高く評価されている。
97歳でこの世を去るまで、2度の世界大戦や迫害を経験したが、一貫して「愛」と「平和」のメッセージを作品に刻み続けた。どの流派にも属さず、自らの魂の声に従い続けたシャガールの芸術は、時代を超えて世界中で深く愛されている。
主な作品収蔵先
国立マルク・シャガール聖書のメッセージ美術館(ニース)、ポンピドゥー・センター(パリ)、ニューヨーク近代美術館(MoMA)、パリ・オペラ座(天井画)、メス大聖堂(ステンドグラス)、青森県立美術館 ほか









