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美術品まめ知識

エスタンプとは

エスタンプとは、複製版画のことです。

フランス語の estampe に由来する言葉で、もともとは版画全般を意味しましたが、近年は複製版画の意味で使われることがあります。このページでは、エスタンプの意味、オリジナル版画との違い、著作権、暮らしの中で楽しむ魅力まで分かりやすくご紹介します。

ゴッホ「オーベルの教会」のエスタンプ(複製版画)を飾った室内イメージ
ゴッホ《オーベルの教会》のリトグラフ(エスタンプ)を飾った室内のイメージ。(Photo by nihonbookart-mayumi)

エスタンプとは

エスタンプとは、複製版画のことです。言葉の響きから「スタンプ」や「ハンコ」を連想されることがあるかもしれません。フランス語のestampeに由来し、もともと版画全般を意味する言葉でしたが、近年は複製版画の意味で使われることが多くなっています。

複製版画とは

複製版画とは、版画のための下絵からではなく、すでに存在している原画をもとに制作される版画です。油絵、水彩、グワッシュ(不透明水彩)、素描などの原画をもとに、職人が版に絵を描く、あるいは写真製版などの方法で版を作り、刷り上げます。原画を描いた画家は、この版画制作に関わらないのが一般的です。

例えば、ゴッホ「オーベルの教会」の複製リトグラフ(石版画)の場合、ゴッホ本人が版画用の版を作ったり刷ったりしたわけではありません。パリのオルセー美術館に所蔵されている「油絵の原画」をもとに、熟練の職人がゴッホ特有の複雑な色彩や筆のタッチを版画として忠実に再現します。

パリのオルセー美術館に展示されているゴッホの油彩画「オーベルの教会」
On-site Report ゴッホ《オーベルの教会》1890年作。パリのオルセー美術館に所蔵されている油彩画の原画です。(Photo by nihonbookart-mayumi)

複製版画を制作するには、原画の著作権を持つ作家本人、またはその権利を継承した相続人や管理者の許諾が必要です。無断で制作されたものは、正規の複製版画とは言えません。

日本でもEUでも、著作権は原則として著作者の死後70年まで保護されます。権利が存続している作品を無許可で複製することは認められず、いわゆる「海賊版」と呼ばれることもあります。

オリジナル版画との違い

画家自身が制作に関わる版画は、一般にオリジナル版画と呼ばれます。一方、エスタンプは、すでに存在する原画をもとに制作される複製版画です。

オリジナル版画と比べると、エスタンプは比較的手ごろな価格で取り入れやすく、広く普及してきました。インテリアとして楽しみやすいのも魅力です。原画に忠実に作られた作品ではありますが、オリジナル版画とは異なる位置づけの作品です。

まとめ

エスタンプとは、既存の原画をもとに制作される複製版画のことです。原画は美術館に所蔵されていたり、高額で取引されていたりなど、実際に目にする機会は限られています。エスタンプであれば、巨匠の作品を手元に置き、名画の魅力をそばで感じることができます。

名作を暮らしの中で楽しめる点は、エスタンプならではの良さです。美しい作品を日常に取り入れたい方に、ぜひおすすめしたい選択肢のひとつです。

文責

nihonbookart-mayumi

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